[FT]エイズとの戦い転換点に 治療数が感染数上回る

エイズとの戦いが転換点を迎えた。2013年にエイズウイルス(HIV)治療を開始した人の数が新規感染者を上回ったことを示すデータが明らかになった。HIVの治療がウイルス発生率を上回ったのは、27年前に抗レトロウイルス薬が導入されて以来初めてだ。

■「初めて病気をしのぎつつある」

エイズウイルスが感染した免疫細胞のT細胞(米国立衛生研究所提供)
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エイズウイルスが感染した免疫細胞のT細胞(米国立衛生研究所提供)

1日の「世界エイズデー」に合わせて発表されたリポートで、この点を強調した反貧困を掲げる団体「ワン」のエリン・ホールフェルダー氏は「エイズ撲滅が近いと言っているわけではないが、我々が初めて病気をしのぎつつあるという重要な節目に達した」と語った。

入手可能な最新のデータである13年の新規感染者は210万人だったのに対し、治療プログラムへの参加者は230万人増えた。

新規感染者220万人、投薬治療を開始した人が160万人だった前の年から改善した。

もっとも、世界で抗レトロウイルス薬を投与されている人は足元で1360万人にのぼるが、3500万人と推定されるエイズ患者のなお半分にも満たない。

ホールフェルダー氏は勝利宣言にはまだほど遠いとくぎを刺す。「世界的には転換点を迎えたものの、すべての国がそうであるわけではなく、これまでの進歩も簡単に行き詰まったり、白紙に戻ったりする」と話した。

13年の反エイズ活動への資金提供額は191億ドルにのぼったが、国連が必要だと指摘する年間220億~240億ドルをなお下回る。

■治療によって寿命は通常と変わらない可能性も

ホールフェルダー氏は中所得国の貢献度が高まりつつあるものの、主な支援国である米国、フランス、英国の3カ国は「もちこたえられない」ほどの負担を背負っていると指摘。「オーストラリア、日本、中東の一部など多くの国の資金支援が思うように増えていない」と明かした。

最新の抗レトロウイルス薬による治療を受ければ寿命は通常とほとんど変わらない可能性があるため、先進国ではエイズはコントロール可能な慢性疾患とみられるようになっている。活動家や衛生当局者は、このことが油断を招く恐れがあると警戒する。

症例のほぼ70%が集中するアフリカをはじめとする発展途上国の大半では、HIVは依然として健康上の最大の脅威の一つだ。

感染は売春婦や薬物使用者、同性愛者、検査や治療を嫌がる若者など実態をつかみにくい層に集中するようになったため、急速な進展を実現するのは難しいかもしれない。

■発展途上国向けに治療薬を

世界のHIV対策を 主導する国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長は、30年までに流行を収束させるという目標を達成するには、もう一押しする必 要があると主張する。「エイズ拡大を抑えることはできた。恒久的に抑え込めるか、再流行して手が付けられなくなるかは今後5年が勝負だ」と語った。

かつては治療薬が貧困層の手に届かないとして批判されていた製薬会社は、後発薬メーカーにライセンス生産を認めることで、治療薬を発展途上国で低コストで生産する取り組みを支援している。

米アッヴィは1日、国連が支援する「医薬品特許プール」に後発薬の生産許可を与える。大手製薬会社では、米ブリストル・マイヤーズスクイブ、米ギリアド・ サイエンシズ、スイスのロシュ、英グラクソ・スミスクラインと米ファイザーの合弁会社である英ViiVヘルスケアに続く5社目となる。

アッヴィとの合意では、小児向けの2つの抗レトロウイルス薬が対象となる。世界の子どものHIV感染者320万人への適切な治療が不十分なことに対処する。

この合意に伴い、HIVに感染するほぼすべての子どもが暮らす102カ国で後発薬メーカーが同社の2つの薬を生産できるようになる。

By Andrew Ward

(2014年12月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

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